すずめの戸締り、感想

**すずめの戸締りと天皇

 そういう指摘はあった。顔のない無人格な災厄である「みみず」と、その出現を抑えるため「後ろ戸」を閉じて回る閉じ師たち、そして「みみず」を抑える「要石」。「要石」は喋るし感情も持っている。少なくとも「鈴芽」と「草太」にとっては石が猫になり石に戻っただけであるが、これ、猫が石にされて猫に戻るが猫としての生を継続できず再び石と化す話かもしれない。

 日本は根本として災厄を内在しており、それを「神」としての要石が護持しているというのが基本的な構図であるが「生き物ではあるが、国内鎮護のために無生物としての生を強要されるもの」っていうのは、まさにあれではないか?

 

 

**天気の子との差

 あちらは、もともと関東平野自体が人柱による不自然なものであった、というエクスキューズがあるので…

 

**アルファロメオ ジュリア 952

だいたいのフォルムはジュリアだけどジュリアは4ドアセダンのみでクーペはない。まあ、マイナーな車であるが如何にもラテン車だなあ。そのへんいろいろアレなのかグリルは微妙に変えてあった。芹澤くん、文京区で自動車乗りなんて金持ち!(※公租公課を負担できれば、駐車場は友人知人縁戚の空き区域を安価に借りてる設定は可能)

 

**草太NPC

 女性がギャルゲを見るとヒロインがNPCに見える説があるが、その逆かもしれない。もっとも、あえてそういう進行にしておいてミッドポイントで芹澤くんを投入し彼も生き物だったんだと印象づけたって監督が言ってた気はする。

 

**ラテン車のわけ

 えー、雨が降って屋根が中途半端に閉じて完全に閉鎖せず「高速道路での走行は不可能」と判断して下道に降りたというシーケンスなのか。それで双葉町のあたりを通過したと。そうでなければ岩手県と思われる目的地に向かうのに下道を通る理由がない。お茶の水から岩手県宮古まで、常磐自動車道三陸沿岸道路/三陸縦貫自動車道 経由 Googlemapで7 時間 ちょっと(580 kmちょっと)。まあ、フィクションなので「この世界ではこれが最速」でいいんだけど。

 

**草太のアパートで現れたのが同級生のチャラい

 美人の芹澤「さん」で、御茶ノ水駅前でオープンのポルシェに乗せられて途中ショッピングセンターで買い物して救われちゃう話には… ならないか。BGMはジンカンバンジージャンプ

 愛媛の民宿で若おかみになる選択肢も

 

**ジュブナイルの王道

 といえば、「少年少女が何かを得るために何かを捨て、その過程で「万能感」から脱却し成長を遂げる」っていうものだろう。本作ではこういう葛藤は描写されないが、鈴芽は最初から捨てていてそれを取り戻す話なので…

 牽強付会であるが、「少年少女が何かを得るために『恐れ』を捨て(怯懦を克服し)、成長を遂げる」っていうパターンも多い。本作では… (略)

 

**イヤな「すずめの戸締り」

 草太さんは物言わぬ椅子となり、すずめはゴールしたのち、災害を鎮護する要石となり。そして流れるFareWell song